合格体験記2013
佐野 圭亮【高崎北高校】
- 東京藝術大学工芸科 合格
あんなにも長いと感じていた一年が時間が経てば立つ程瞬間的に終わって行きました。一年間で出来る事はあまりにも限られていました。僕が受験生活で一番恐れていた事力量を量り間違える事でした。自分の作品を上手いと思った所で、果たしてそれは本当に上手い物なのだろうか。自分の作品を推し量るには紛れもなく他人の存在が必要になのです。人はいくらでも努力する事は出来るけれど自分を成長させてくれるのは他人に他ならないのです。数多の実力者の中でそう実感させられた僕は浪人生活に入ってひたすら受験勉強に明け暮れる毎日の中で、自分の実力の無さを実感させてくれる物を求めました。そして自分は多くの受験生の中で一体どれほどの力を持っているのか、自分の弱点はなんなのか、そうやって自分の立ち位置を求めていく内に自分が本当にやらなければいけない事の優先順位が浮かびあがってきました。
また、自分に残された伸び代がどんなに多い物かも思い知らされました。誰もが自分の作った作品に愛着を持ち大切にしようとするのは当然の事です。しかし極端な話し、受験の枠組みの中でできる作品の多くは一から百まで文句なく優劣がつくよう設定されています。ある意味僕達の受験は自ら傷つきにいく勇気が必要なのかも知れません。でも、それと引き換えに得られるものが自分の器を量る事のできる目です。審美眼です。
タカビで巡り会えた先生、仲間、過ごせた時間は何にも増して僕の財産になりました。もちろん僕が述べている事は他人の結果論に過ぎません。人それぞれの受験があります。ただ、誰もが自分なりのベストな戦い方やスタンスを見つけられるのだとおもいます。タカビはそういう受験以上の事も提供してくれました。
青山 真理子【高崎経大附属高校】
- 武蔵野美術大学油画学科油絵あ専攻 合格【現役】
- 多摩美術大学絵画学科油画専攻 合格【現役】
私が武蔵野美術大学と多摩美術大学を志望校に決めたのは3年に進級する直前あたりでした。美術を学ぶなら人の大勢居るところが良いと東京の大学を考え、当然芸大も志望校でした。タカビには2年の頭から基礎科に通い始め、油画科へ転科したのはその冬頃でした。なぜか油画科以外頭にありませんでした。なんでだろう。
油絵においては「完成していない」と講評で言われる事がたくさんありました。絵がよく分からなくなって煮詰まって制作しないで遊んだり本を読む事もありました。受験の制度にすら疑問を感じていました。完成するようになったのは受験直前だったと思います。受験用の絵というのも嫌いだったので大してパターンも作らないまま受験し、正直不安でした。本番は焦っていても出題文を必ず3回以上は読んでから制作に臨みました。これは良かったと思います。 サボりはお勧めしませんが、私の場合とにかく美術に限らずいろんな事を吸収し、課題に対して出来るだけ柔軟になる事が力になったと思います。柔軟さは吸収した事から生まれると思っています。受験のために描く事が嫌になっても、大学は自由に学べるし、自由に描く事が出来ます。おかげで今は楽しく絵を描いています。
私は予備校がタカビで良かったと思います。あののびのびとした空気が私を挫折させなかったんだと思います。皆に感謝してます。
和田 夏実【新島学園高校
- 武蔵野美術大学視覚デザイン学科 合格【現役】
- 武蔵野美術大学油絵学科版画専攻 合格【現役】
- 多摩美術大学グラフィックデザイン学科 合格【現役】
私は視覚伝達デザイン学科と油絵科版画専攻を目指していました。双方とも画材がほとんど違い、相手に伝えたいことを汲み取り表現する前者と、自分を表現していく後者の二つの表現方法を使い分けていると混乱してめちゃくちゃな絵を描くこともありました。でも私は表現方法が一つに偏るのが嫌でした。それは勉強面でもそうでした。美術系だからといって勉強を怠るのは良くないと思いました。私はそんなに要領がいいわけではないのですが、知識に偏りがでるのが嫌で受験に関係ない理系の授業を選択したりしていました。センター試験の国語は数学のように理詰めで考え回答していたのを思い出します。案外かなり違う分野に興味を持っても、なんとかなったりするのでしょう。私の受験生としての生活は今思うと結構のんびりしたものだったと思います。特に最後の一ヶ月はびっくりするくらいストイックとかけ離れた生活をしていました。そのかわり一つの絵を描くときはものすごく集中していたので清算はとれてたんじゃないかなぁと思っています。伸び悩んだら過去問を見たりしました。ボーと眺めていると新しい技法が見えてくることがあって、これだ!と思ってとりあえず取り入れてみるとうまくいったりして、その繰り返しでした。とにかく努力です。ここから自信がつきます。勉強も頑張れば、絵プラス勉強で、自信が二つになります。とても頼もしいです。そうすると多少の困難も乗り越えやすくなります。講評会で作品の評価が低かった時とかです。受験本番でパレットを忘れた時は、二分だけ動揺することにして、後はいかにその場にある絵皿五枚で乗り切るかの対策を考えることにしました。自信を持つことに加えて、忘れ物をしないことも大事だと思った瞬間でした。大学に入った今は、何が自分に合わないことか好きじゃないことか選んで捨てていく作業をしています。
そして同時に、たとえ好きではなくても身につけなくてはいけないことを拾う作業をしています。大事なものは失ってから気付くってよくいいます。それを三日間ぐらい即席体験する感じです。受験時代とやってること大して変わらないんです。不思議ですね。